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2021年2月22日月曜日

負け組 ― also-ran

"also-ran"という表現をご存知でしょうか?

辞書を引いてもらえば明らかなのですが、


落伍者、失敗者、落選者


を意味する単語です。

最近の言葉ですと、いわゆる「負け組」というやつです。

コーパスからいくつか用例を拾いました。


Sony has largely been an also-ran in smartphones, but is aiming for a comeback via the "unlocked" market, selling phones online through Amazon and in stores like Best Buy without partnering with mobile carriers.
(Fortune, 2017)


Microsoft once had a lead in mobile-phone software, and now has become an also-ran. Microsoft is still dependent on two legacy products, Windows and Office, for the lion's share of its revenue.
(Newsweek, 2010)


この"also-ran"という表現の由来は競馬にあるそうで、元々の意味は競馬において、賞金がもらえる3着以内に入ることができなかった選手のことを指して言ったものだそうです。

文字通りの意味を解釈すれば、"also"(~もまた)、"ran"(走った)、ということになります。

つまり、ただ走っただけ、結果は・・・、ということでしょうか。

競馬でのレースの結果表では、4着以下については単に"also-ran"と記載したことに由来するそうです。

この表現は競馬からスタートしましたが、その後、選挙やスポーツ競技などのコンテクストにも拡大され、広く落選者、敗者のことを意味するようになったようです。



2016年5月13日金曜日

dead ringer

アメリカ航空宇宙局(NASA)が"alien Earth"なる惑星を観測したと発表しました。

"alien Earth"というのは、記事で"exoplanet"とされているものですが、これは「太陽系外惑星」(系外惑星とも呼ばれます)という意味です。辞書には載っていないのですが。


The first "alien Earth" continues to evade detection.

On Monday (May 10), astronomers announced the discovery of 1,284 exoplanets by NASA's Kepler space telescope, bringing the prolific observatory's total haul to 2,325 confirmed alien worlds. But none of these appears to be a true Earth twin, mission scientists said.

"We don't necessarily have an exact dead ringer for a planet like Earth, in terms of its orbit and size," Kepler mission scientist Natalie Batalha, of NASA's Ames Research Center in Moffett Field, California, said during a news conference Monday.
(Mike Wall. First Alien Earth Still Elusive Despite Huge Exoplanet Haul. NBC News. May 11, 2016.)


ケプラー宇宙望遠鏡と呼ばれる観測機器で確認できた"exoplanet"のその数、なんと1,284個ということですが、地球のように生命体が存在するのか、またその前提となる水が存在するのか、などについてはまだ十分には分かっていないそうです。

観測された太陽系外惑星のうち、ケプラー1638bとケプラー1229bと呼ばれる2つの惑星については、水が存在する可能性があり、もしかしたら将来、地球から移住するなんてこともあるのかもしれません。

途方も無い夢想にしばし浸りました。

さて、今日取り上げたい表現ですが、NASAの研究者のコメントに、


a dead ringer for a planet like Earch


と出てきます。この"dead ringer"という見慣れない表現についてです。

太陽系外惑星の中に地球と同じ、もしくはそれと近い性質を持つもの、つまり地球そっくな惑星を求めているのですが、その「そっくり」を言っているのが"dead ringer"という表現となります。

初めて見る表現だったので辞書で確認するまで分かりませんでしたが、"ringer"のエントリに、


ある人に大変良く似た人、生き写し


という意味があることを知りました。ここで疑問が。

なぜ、"ringer"がそのような意味になるのか?また、"dead"とはどういう意味なのか?

まず1点目ですが、非常に興味深いことに、"ringer"には「替え玉」という意味があるんですね。これは、現代的には受験の替え玉というのが真っ先に思い浮かぶ意味のですが、元は競馬において、遅い(のろい)馬の代わりに走らせる速い馬のこと(つまり替え玉ですね)を言っていました。

そして、この「替え玉」の意味の"ringer"は、"ring"という動詞にも関連してみられます。

例えば、"ring the changes"という成句ですが、「手を変え品を変えてする」という意味で使われます。(ここでの、"changes"とは音楽用語における「調、調子」のことで、主題を様々に転調させることを、「手を変え品を変え」という表現に発展させたもののようです。)この表現には、相手を騙す、という意味がほのめかされているようですが、「替え玉」という意味に発展するのもうなずけます。

さて、戻りますと「替え玉」となるには少なくとも外見がそっくりでなくては難しいでしょうから、"ringer"がある人に大変良く似た人を意味するようになるのは自然なことと思われます。

問題は2点目の、なぜ"dead"なのか、です。

この"dead"は「死んだ」という意味ではなく、おそらく強意として使われる副詞の"dead"であろうと思われます。

久しぶりの語源探訪でした。


2014年9月25日木曜日

五分五分 ― neck and neck

"neck and neck"という表現があります。これは、勝負やレースなどが互角の状況、2者(あるいは3者以上もありますが)が互いに五分五分で接戦であることを表現するときに使われます。


Florida poll shows Scott and Crist neck and neck in nasty campaign

Months of mud-slinging by Florida Governor Rick Scott and former Governor Charlie Crist have made voters distrust both men in a hot race that is too close to call, according to a new poll released Wednesday.
(Reuters. September 24, 2014.)


日本語では互角の状況を表現するのに、“肩を並べて”と言いますが、英語では首(neck)なんですね。

“肩を並べる”に相当する、"shoulder to shoulder"は、協力して、力を合わせて、という意味で用いられます。

競馬で“首の差で”と言ったりします。レースの勝敗は肩よりも首の方が先だからでしょうか、そうした認識が"neck and neck"という表現の背景にあるのかもしれません。

"neck and neck"は多くの用例を検索することができます。ニュース記事では選挙関連が多いですが、スポーツでももちろん使われます。

フレーズとしては、"run neck and neck with..."というパターンが多くみられます。


Even with all of the battering that Romney has taken during this long primary season, he's basically running neck and neck with the president.
(Fox, 2012)


次いでよくみられるパターンとしては、be動詞と共に用いられるものです。


The senator, who is neck and neck in the polls with Mr. Bush in New Hampshire, appears to be the only one standing between Mr. Bush and the nomination.
(New York Times, 2000.)


And of course right now, President Bush and John Kerry are neck and neck in Michigan.
(CNN, 2004.)


2014年1月20日月曜日

Big Apple

アメリカのニューヨーク市(New York City)のことをBig Appleということがあるのをご存知でしょうか?


No wonder they call New York the city that never sleeps. Who can get any shuteye with all the noise?!

Screeching subway trains, honking cars, roaring planes, barking dogs and boisterous people make noise the Big Apple’s No. 1 quality-of-life complaint. A city hotline got more than 260,000 noise complaints last year.

Silence, it seems, is the one thing in this city of more than 8 million that’s almost impossible to find, despite a major crackdown on excessive noise.
(Noise Is No. 1 Quality-of-Life Complaint in NYC. ABC News. January 18, 2014.)


なぜBig Appleと呼ばれるようになったかは諸説あるそうですが、ニューヨークで行われていた競馬に因むという説が有力だそうです。競馬での高額な賞金をAppleと呼んでいたそうなのですが、それを1920年代にスポーツジャーナリストのJohn Fitz Gerald氏がニューヨークを意味する呼称として使い始めたことがきっかけということです。

これ以外には、ニューヨークでの大量の失業者がリンゴを売って生活費を稼いでいたことからそのように呼ばれるようになったとか、ニューヨークにあった売春宿の売春婦がEveという名前であったことに引っ掛けた、とかの説があるそうですが、これらはいずれもマユツバものらしく、後に否定されています。


2013年5月6日月曜日

ケンタッキーダービー ― julep

競馬にあまり興味があるわけではなく故に詳しいわけでもありませんが、土曜日はケンタッキーダービーが行われました。

USA Today紙によると、このケンタッキーダービーが開催されるチャーチルダウンズ競馬場で、一杯が1,000ドルもするカクテル、"mint julep"が売り出し中ということです。

さて、そのお味は?


LOUISVILLE — One partaker said his $1,000 mint julep tasted just grand.

"It's fantastic," Aaron Schneider, 42, of New Orleans said between sips at Churchill Downs in advance of Saturday's Kentucky Derby.

The basic recipe for a standard mint julep is spearmint leaves, bourbon, sugar and water. Schneider took his sips from the gold-plated straw provided with his sterling silver cup.

"Absolutely, it's the only way to drink it," he said with a smile.
(Gary Mihoces. How do $1,000 mint juleps taste? Just grand. USA Today. May 4, 2013.)


その答えは、"just grand"(申し分ない、素晴らしい)、ということです。

1,000ドルもするということで、これはつい昨日の投稿と全く偶然にリンクしていますが、うまいしゃれですね。

ちなみに、"mint julep"というのはバーボンをベースとしてミントの葉を添えて供されるカクテルのことで、ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクなのだそうです。ケンタッキーダービーを観戦しながらこの"mint julep"をすするのが競馬好きには堪らないひと時なのでしょう、当日は飛ぶように売れるそうです

勿論ですが、1,000ドルもする"mint julep"というのは特別なもので、売上の大部分はチャリティーに計上されるものです。通常売られている"mint julep"は10ドル前後の価格ということです。

"julep"という単語についてですが、この単語はペルシア語起源で、バラを意味するgulと水を意味するabという語から成るもので、それがアラビア語julabとなり、ラテン語、中期フランス語などを経て英語になったものであると語源欄の解説に見えます。つまり、もともとはバラの(入った)水、ということでしたが、現代ではシロップ、甘味という意味で用いられ、特にアメリカ南部では"julep"と言えば"mint julep"というカクテルを指すようです。

こう書いていると何だか"mint julep"を飲んでみたくなってくるから不思議です。ゴールデンウィーク最終日、競馬観戦はともかくとして、快晴の空の下、緑を眺めながら飲んだら美味しいでしょうね。


 
  翻译: