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うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

エレガントなデザートカップ

巳亦敬一さんの新スキデザートカップ丸平をご紹介します。
光の加減で黄金色が見える新スキシリーズで、
デザートカップは何種類かあって、
それぞれが個性をもっていて魅力的です。

16_mimata_0270.jpg
巳亦敬一 新スキデザートカップ 丸平 3,348円
径13cmH7cm


この丸平はモールを優雅に見せていて、
一番エレガントな姿です。
ロート型の見込みは容積も楕円型や丸形よりも少なく、
その分深さもあってパフェのように、
盛り上げる盛りつけも似合いそうです。

16_mimata_0271.jpg


楕円や丸形のように縁の着せもなく、
モールがその2種より薄めで、
水平に折り返した縁端まで柔らかく続き、
品のある姿に仕上げています。

16_mimata_0269.jpg

他のデザートカップ同様に、
和の器と見立てて夏の向こう付けとして、
主役をはれる品格も備えたガラス器です。

16_mimata_0272.jpg

それでいて重ねもそこそこで、
棚板間の高さにもよりますが、
2〜3客までなら重ねても納まります。

黄金色の輝きは寒々しさがないので、
春の日差しを感じてくると、
さっそく食卓に上らせたくなります。

             甘庵


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しもぶくれのポットらしいフォルム

今日は加藤財さんの焼き締めポット(なすび)をご紹介します。
焼き締めというのは釉薬を施さずに焼いて仕上げたものです。

17_kato_1021.jpg
加藤財 ポットなすび 11,880円
容積400cc


加藤さんは急須やポットは白系と黒茶系がメインですが、
せっ器や磁器の胎土を調整する素地の配合を、
少しずつ変えることで釉薬や絵柄がないぶん土味を変えています。
また一部に灰をふって焼成することで、
一つずつの表情を生み出しています。

17_kato_1022.jpg

ご紹介してる黒茶系なすび型のポットは、
茶の発色がつよい物です。
しもぶくれのなすび型や気穴が蓋の摘み部分にある、
どこかユーモラスは姿にあっていて、
柔らかで優しい表情をもっています。

17_kato_1023.jpg

焼き締めの器は長く使うことで土味の表情が変わりますが、
黒が強いタイプよりも素地色が明るい分、
変化の様子がわかりやすい傾向があります。

17_kato_1024.jpg

長く愛用していただくと、
土のままの素地のざらつきが徐々に滑らかになり、
艶やかになっていきます。
少しずつお茶類のタンニンが素地に絡んだり染みこむのでしょう、
色合いに深みがましていきます。

磁器やせっ器の釉薬のかかったポットでは味わうことが難しい、
長く使い込む変化の楽しみは、
加藤さんの急須ポットの魅力を味わう醍醐味です。

                    甘庵


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皿と鉢の良いとこ取り

今日は久保田信一さんの縁黒深皿をご紹介します。
皿で有りながら縁の立ち上がりがあり、
見込みの程よい深さで使い方が広がります。

17_kubota_1079.jpg
久保田信一 縁黒深皿(長石釉) 2,484円
径15cmH4cm


五寸皿であり五寸浅鉢の使い方ができるのですから、
盛りつける料理の巾も広くなります。

17_kubota_1080.jpg

色々な彩りを受け止めて活かす、
長石釉の無地部分を多くして、
縁だけ鉄巻きで見え方を締めています。
伝統的な皮鯨を思わせます。

17_kubota_1082.jpg

見込み部分などに見える黒茶の点や、
縁鉄の滲みはしっかりと焼けているためです。
素地に含まれる鉄や下絵の鉄が、
長石釉を絡み滲みだしているのです。
つまり、丈夫さが視認できるポイントになります。

17_kubota_1081.jpg

しっかり焼けているで、
使い出して直ぐとはいきませんが、
長く長く使っていただくと、
長石釉に入っている貫入が見えて来ることでしょう。
陶器と使う楽しみの一つです。
丈夫さが長く使うことを応援してくれますが、
あくまでもヤキモノなので、
過保護はいれませんが思いやりを持っていただければ、
愛着の湧いてくる愛用の皿になることでしょう。

              甘庵

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彫刻のある匙

今日は武井順一さんの柄が細かく彫られている、
木の匙をご紹介します。

17_takei_1086.jpg

武井順一 匙 6,480円
山桜・漆仕上げ W3.7cmL21cm


武井さんの作り出す匙は基本的に使うためで、
どれも口当たりがよく掬いやすいデザインです。
この匙も掬う部分のディテールや柄とのバランスなど、
使いやすくまとまった匙ですが、
柄が武井さんの遊びの心でできています。

17_takei_1083.jpg

甘庵が初めて見たときに連想したのは、
よき時代の車のカーマスコットです。
ボンネットに鎮座する物ですが、
衝突時の安全のために突起物が制限されて、
今は見かけなくなり、少し寂しい気分です。
それでも走り出すときにカーマスコットが、
自動的に収納される機能を持つ超高級車があるようです。

17_takei_1091.jpg

ガラス工芸家のラリックがずいぶんたくさんの、
ガラスのカーマスコットを作っています。
ガラスの彫刻作品として鑑賞できる素晴らしもので、
エレガントで優雅な物ばかりで、
当時の貴族社会の自動車の姿が思い描かれます。

17_takei_1085.jpg

話がずれてしましました。
甘庵がカーマスコットから受ける共通の印象は、
風を受けて走るスピード感があることです。
武井さんのこの匙の柄からも、
それに似たイメージが受け取れて、
カーマスコットを連想したように思えます。

              甘庵

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プレゼントされたい花器

今日は巳亦敬一さんのサイズと文様が可愛い、
一輪挿しをご紹介します。
そのままでも飾っておける美しいフォルムですが、
一輪生けると小さなスペースがぱっと華やぎます。

16_mimata_0255.jpg
巳亦敬一 一輪差し グリーン 4,752円
径8.5cmH10.7cm


グリーンの素地の胴部分に一列並ぶ白い花文は、
アクセサリーなどで使われるトンボ玉と同じ方法で作って、
文様のピースを輪切りにして埋め込んであります。

16_mimata_0256.jpg

もちろん計画的に作り白の花弁をはっきりさせるために、
素地に使うグリーン素地を使って作ってあり、
埋め込まれた後に馴染みながら文様を浮き出させています。

16_mimata_0257.jpg

首部分は基本のスキガラスで、
グリーンの胴部分と爽やかに引き立てています。
少し開いたナチュラルなフォルムも、
花を生けやすく納まりの良いディテールになっています。

気軽なプレゼントとして、バレンタインのお返しとして、
きっと喜ばれる贈り物になります。

              甘庵


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碗型の多目的な器

今日は久保田信一さんの灰釉二彩碗をご紹介します。
鉄分が多めの素地と鉄彩が灰釉と解け合い、
見込みに流れていく濃い緑の釉調をみせています。

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久保田信一 灰釉二彩(赤土)碗 2,700円
径13cmH5.5cm


しっかりと焼くことで見える、
日常食器でありながらの窯変です。
良く焼かれていると言うことは、
平たくいえば丈夫な器になります。

16_open_0054.jpg

また素地も締まっているので、
汚れや匂いもつきにくく、
洗うことや管理が楽になります。

16_open_0053.jpg

そして土や釉薬に見合った温度まで、
焼かれることで生まれる表情は自然な素材感となり、
自然素材である食材とのマッチングがよく、
美味しそうで盛り映えがする器に仕上がります。

16_open_0052.jpg

この碗はソバチョコのように多目的な使い方に向きます。
大きめの高台は安定感もありながら手に持ちやすく、
取り鉢や小鉢としても碗としても、
使い勝手が良く多面的な使い方が望めます。

                甘庵


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小狸のような急須

今日は加藤財さんの小狸を思わせる、
個性的なフォルムの急須をご紹介します。

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加藤財 急須 横手 10,800円
容積150cc


帽子のようなフタとすう〜っと伸びた口、
しっぽのような取っ手で、
甘庵には小狸に見えてしまいます。

16_kato_0748.jpg

本体、フタのムクリ、取っ手のふくらみと、
どれも加藤さんならではの優しい丸みが、
可愛らしさでまとめています。

16_kato_0749.jpg

ス(お茶を漉す部分)がかぶるほどで計って、
容積が150ccの一般的なものより小振りな急須です。
ただ、煎茶急須としては標準の範囲で、
逆に煎茶の味わいをしっかり入れるには、
このぐらいの大きさが有効になってきます。

16_kato_0747.jpg

食後にたっぷり熱々のお茶を、
*湯呑みに入れて飲むには、
もちろん大きさがたりませんが、
茶葉にあわせて湯の温度を整え、
茶葉が開く時間を楽しみ、
ゆっくりと碗に注ぎ、
香りを楽しむ、
自然とお茶をゆっくり飲む時間をもてる急須です。
*湯呑み(ゆのみ)文字通り湯の飲む器でしょう。
 豊かになれば煎じた飲み物を汲んでだしたのでしょう。
 汲み出しという名も自然な名なのでしょう。

加藤さんの中でも数の少ない遊び心のある形です。
少しひねくれ物でくみ取ってくださる方をイメージして、
つくった急須でしょう。

               甘庵


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四角くて丸いガラス鉢

今日は西川孝次さんの四角くて丸い柔らかな縁の、
色流しアワ入り鉢をご紹介します。

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色流しアワ入り鉢 14,700円
径20cmH10cm


吹きガラスですから丸く形作っていき、
縁作りの時にゆったりした角のない四角に納めた、
使い勝手にも優しいフォルムです。

17_nishikawa_1076.jpg

四つの辺のそれぞれの中央から、
見込み中心にオリーブグリーンから青みのある緑まで、
混ざり合った色を流しこんであります。

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アワの入った乳白気味の素地に、
緩やかな動きのある緑の流れが、
ゆったりしたフォルムに良くあっていて、
鉢の柔らかさをより演出しています。

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四方になった縁も均一ではなく、
四本の緑の色流しは彩りも形状の一つずつで、
見る角度でずいぶんと表情を変えて見せ、
盛りつけの時の気分で選べる楽しみがあります。

涼しげなだけでなく温かみも感じる鉢で、
水温んでくるこれからの季節にも、
使いたくなるガラス鉢です。

             甘庵


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ほのぼのするおひな様

今日は道楽かん工房真鍋芳生さんの張り子の桃花ひなをご紹介します。

17_hina_1044.jpg
道楽かん工房張り子
桃花ひな 6,480円 H11.5cm


真鍋さんの張り子は型に備中和紙を何枚も張り重ね、
乾かして二つに割り型からはずし、
テープ状の和紙で一つに繋ぎ、
胡分(貝から作る白い絵の具)で下地を作り、
和絵の具で彩色した和の彩りが和むおひな様です。

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張り子らしいファジーなフォルムでいて、
雅でクラシカルな姿は春の日差しが似合い、
気持ちがほのぼのとしてきます。

17_mehina_1045.jpg

荻窪界隈では桃は桜の後に咲き出します。
ちょうど旧暦の節句になります。
その頃まで飾って置きたくなる、
そんな風情のおひな様です。

               甘庵


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手作りの白い八寸皿

今日は小野寺友子さんの白磁八寸皿をご紹介します。
白い皿は量産の器の中心なので目にする機会が多いためか、
手仕事の皿でもじっくりと手に取られる方が少ない気がします。

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小野寺友子 白磁八寸皿見込み絵 5,400円
径24.5cmH4.6cm


よく見ていただくと、
小野寺さんから届いた複数の八寸皿が、
どれも表情が違う一つずつの物です。
見込みと高台内に釉をかけず、
素地に鉄絵で焼き付けたような、
絵柄はそれぞれでマイプレートを意識したのかも知れません。

17_onodera_1072.jpg

ご紹介している八寸皿は端が緩やかに歪み、
一般的な白磁の端正なイメージとは少し違います。
厚めにかかって釉調もわずかに結晶化していて、
失透しているところもよく見かける白磁とは別物です。

17_onodera_1070.jpg

姿も和の皿のフォルムで、
ゆるやかな曲面の深さのある見込みで、
ソースや汁をかかえる盛りつけが出来ます。

17_onodera_1071.jpg

「これを使ってみると何でも盛れて、これ一枚で済んでしまい、
 他の器を買っていただけないかもと食器を作っていてまずいかも」
という、自賛であり自虐的なジョークを小野寺さんが言っていました。
それほど使い勝手が良いと思っていらっしゃるためでしょう。

                    甘庵


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さりげない形の中に心遣いのディテールがあるボール

今日ご紹介するのは巳亦敬一さんのボール(グリーン)です。
ロート型のシンプルな形状は、
盛りやすく多様性が高く重なり収納が良いという、
ガラスボールの基本形です。

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巳亦敬一 ボール(グリーン)4,644円
径12.5mH6.3cm


型物や量産品も見かけられる形ですから、
個性的でないと思われるかもしれませんが、
じっくりと見ていただくと
確かな使い勝手の良さを裏付ける
丁寧なディテールが見られます。

17_mimata_1067.jpg

渋いけど使い勝手に貢献しているディテールとして、
施されているモール(規則的な凹凸)を見ていただくと、
外側は立体的でくっきりとしていて、
受けた光とテーブルに陰影として、
綺麗に写し出します。

17_mimata_1066.jpg

ところが見込み部分を手でふれると、
モールの凹凸は感じられますが、
外側にくらべてとても穏やかに滑らかになっています。
これは見込みの凹凸は使って行くうちに汚れが溜まりやすく、
洗う手間やメンテナンス性を大切にしている、
巳亦さんらしいディテールです。

17_mimata_1065.jpg

外側にひろがる頃合いのテーパー角度と高さが、
なにげなく均一で重ねてみればすっきりと納まり、
揺らぐこともなく収納性と安定性は、
さすがの使い勝手のでディテールです。

17_mimata_1068.jpg

モールの入り方も中程から高台にかけて、
しっかりと強くなっていき、
高台ぎりぎりまで入り美しい腰を担っています。
その高台は碁笥高台で中央部が少し凹み、
持ったときに手がかりになる点も、
渋い心遣いのディテールです。

            甘庵



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お茶が美味しい急須

今日は加藤財さんの丸急須をご紹介します。
銀花では便宜上横手と呼んでいますが、
古くは煎茶の道具としては茶瓶(ちゃへい)と呼ばれていて、
小さなポット形のものを差していて、
急須は横に手があるタイプの茶瓶のことでした。

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急須 横手 10,800円
径7.5cmH8cmほど 容積150cc


現代では総称として急須と言う方が、
通じやすいこともあり急須として、
取っ手の位置で横手と後手と分けています。

16_kato_0743.jpg

さて、加藤さんの急須を書籍やサイトなどでご覧になると、
まずは美しい形印象深く覚えていただきます。
ところが、現物をご覧においでいただくと、
その小ささに「あれ?」と思われる方が多くいらっしゃいます。

16_kato_0744.jpg

それは身近にみる急須とのギャップなのでしょう。
加藤さんの急須は本来の煎茶の急須のサイズです。
煎茶道などで使われるものと変わらないサイズです。
そしてそれには訳があります。
お茶が美味しく入れるのに程よいサイズなのです。

16_kato_0745.jpg

食後にたっぷりと熱いお茶をいただくには、
大振りなものや土瓶が良いのですが、
茶葉に適した湯の温度をあわせて、
茶葉が開くまで待つことが、
どうもせわしない現代の時短感覚から忘れられています。

加藤さんの小さな急須だと自然と美味しいお茶が入ります。
小さな口から丁寧にお気に入りの茶葉を少し多めにいれ、
湯冷ましした湯を注ぎ、
ゆったりした気持ちで茶葉の開くのを待ち、
静かに碗に注げばオートマチックに美味しいお茶が入ります。

                 甘庵


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小ゆのみの魅力

今日は久保田信一さんの長石釉縞柄小ゆのみをご紹介します。
近年はマグや湯呑みや飯碗など大きなモノが望まれて、
作り手からも大きなモノが中心に届くようになっています。

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久保田信一 長石釉縞柄小湯飲み 2,160円
径6.5cmH6.5cm 程よくいれて100cc


それはそれで確かに使い勝手から生まれた器文化なのですが、
伝統的な器サイズにも十分は理屈が込められていて、
使って見ると納得するところが多くあります。

17_kubota_1054.jpg

小湯飲みもその一つとしてお薦めしたい器です。
緑茶を注ぎ入れる器です。

17_kubota_1055.jpg

小振りですがそこを活かして、
小振りの急須にいつもより多めに茶葉をいれて、
茶葉にあって温度まで湯冷ましした湯を入れ、
茶葉がしっかり開くまで我慢をしてから、
小湯飲みにゆっくり注げば、
香り高く深みと酷のあるお茶が入ります。

17_kubota_1056.jpg

このサイズだからこそ出来るお茶の楽しみ方です。
いつものお茶の味をフルに惹きだして味わうには、
急須と小湯飲みの茶器の選択は大切なポイントになります。
是非試して見て欲しい小湯飲みです。

               甘庵


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手のひらに乗るおひなさま

寒波のニュースや大雪の映像が映っていても、
日ごと日差しに暖かみが増して来ています。
春生まれの甘庵はこの季節に自然と気持ちが高まります。
男子だけの家だったこともあり、
おひな様への軽いあこがれがありました。
ひな祭りの霰や白酒や菱餅へのあこがれだったかもしれませんが・・・。

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道楽かん工房張り子
椿ひな 緑 1,944円 H4cm


でも、今でもそんな気持ちがあるのでしょう。
荻窪銀花でも小さなおひな様と並べています。
大仰なものではなく、気軽で可愛く、
でも品があるものを選んでいます。

17_hina_1048.jpg
道楽かん工房張り子
椿ひな 白 1,944円 H4cm


ご紹介しているのは道楽かん工房 真鍋芳生さんの椿ひなです。
備中和紙を何枚も重ね、胡分と和絵の具で彩色した手仕事です。
一つずつ描かれた雅で品のある表情と和の彩りを持っています。

17_hina_1046.jpg

何より特徴的なのが、男雛女雛が一体になった形と、
手のひらに乗る気軽なサイズです。
身近なところに飾るだけで、
一足早く春がやってきます。
 
              甘庵


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梅に鶯タンブラー

荻窪銀花界隈の梅は綺麗に見頃になり春の香りも漂っています。
梅とくればウグイスって発想は・・・。
はぁ~と思うかたも多いかもしれませんが、
兎にも角にも今日はウグイスということで、
西川孝次さんのウグイス透かしタンブラーをご紹介します。

16_open_1126.jpg
西川孝次 うぐいす透かしタンブラー 3,024円
径7.5cmH9cm 程よく入れて200cc


透きガラスで形作った外側に縁を残して、
アワを巻き込んだ再生ガラス(緑の瓶)を着せています。
こうして飲み口を透きガラスにすることで、
口元のすっきりしたデザインと、
滑らかな口あたりのタンブラーにしています。

16_open_1129.jpg

口元よりしたに着せたアワを巻き取った、
ウグイス色のガラスは柚肌状で、
手にしたときに滑りにくく安定感があります。

16_open_1129.jpg

光を受けると口元の透き部分と、
マットなウグイス色部分がそれぞれの煌めきで、
対比を味わえる仕掛けや、
注いだ飲み物がベールや簾越しに見え隠れする、
奥ゆかしい風情も楽しめるタンブラーです。

                甘庵

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食材を優しく抱えてくれる盛り皿

今日ご紹介するのは久保田信一さんの鉄彩盛り皿です。
鉄彩下地と灰釉が解け合い流れて禾目を見せて、
濃茶から薄茶、黄色への変化が楽しい釉調です。

16_open_1273.jpg
久保田信一 鉄彩盛り皿 6,480円
径25cmH3.5cm


この鉄の反応で出る渋めの彩りは、
食材を優しく抱えて盛り映えさせる力を持っていて、
新鮮な素材も調理された料理も盛りつけた瞬間に、
はっとする煌めきと華やかさを感じます。

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また、和でも洋でも中でもエスニックでも、
力を抜いて抱え込んでくれる感じで、
不思議なほど自然な盛りつけになります。
普段使える器であることを大切にしている、
久保田さんらしい仕上がりの盛り皿です。

16_open_1275.jpg

緩やかな曲面のある見込みから少し立ち上がり、
程よいバランスの縁があるフォルムは、
料理を盛りつける納まりが良く、
たっぷりの汁やソースも程よく留めます。

16_open_1276.jpg

25cm程の外径は家庭の食卓でも大きすぎずに、
メインの料理を盛り映えさせます。
収納を含めても扱いや取り回しも良いサイズです。

              甘庵


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花がモチーフのシュガーポット

今日ご紹介するのは野波実さんの花シュガーポットです。
カップに湯呑みもある花シリーズの一点物です。

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野波実 花のふたもの(シュガーポット)4,860円
径8.5cmH9.5cm


花をモチーフにした花尽くです。
蓋の摘みが花形に作られています。

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蓋の摘みの花形にあわせて、
摘みの元部分が五弁の花形に面取りされています。

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蕾のような本体自体も花シリーズのカップと同様に、
入れたシュガーの際が花形に見えます。

16_open_0031.jpg

高台も本体の膨らみに連続した花形に削られています。
少し青みがかった釉調が、
それぞれの花形に陰影を付けて、
柔らかな優しい表情立体感を生み出しています。

              甘庵


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シンプルな中の凄技

今日ご紹介するのは巳亦敬一さんの新スキボール大(深)です。
電球色の光の下で黄金色に輝くスキ素地が、
整ったモールでより効果を見せているシンプルで、
使い勝手の良いフォルムのボールです・・が、
これがなかなか奥深い技が使われています。

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巳亦敬一 新スキボール 大(深) 5,400円
径21.5cmH8cm


モールは型を使って縦に規則的に作った凹凸の表情のことです。
捻って螺旋にしたり、縦に伸ばしたり、本数などで、
個性表れて、趣や印象が変わります。

16_mimata_0211.jpg

通常のモールは金属などの仕切りのある型に吹き込んで、
内圧で型の本数に凹凸を作り出します。
自然のままに素地の厚みは変わりにくいので、
外側の凹凸と反対に内側に凸凹ができます。

16_mimata_0212.jpg

コップやボールの隅のこの内側の凹凸は隅が出来るということで、
使って行くうちに汚れがたまることがあります。
いえいい加減な洗い方をする甘庵だからでしょう。
だとしても、洗う手間や気遣いの元であります。

16_mimata_0214.jpg

ところが巳亦さんのこのスリーズの見込み側は、
つるんとしていて隅がありません。
口元をみると分かるのですが、
口元よりしただけモールが入っています。
着せていると思われるのですが、
内側に隅を作らないためにどうもこの一手間に、
凄い技が含まれているようです。
伺っていないのですが普通のモールの作り方とは、
違うことが想像できます。

16_mimata_0328.jpg

シンプルで使いやすい新スキモールのシリーズが、
ファンも多くリピーターが増えるのは、
作り手巳亦さんの使い手への思いやりの凄技を、
ユーザーが気づかぬままに使っての結果なのでしょう。

                  甘庵


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猪口は小さい器のこと

猪口(ちょこ)は小さい器のことです。
現在では蕎麦猪口か酒器をイメージされますが、
古くは料理を少し盛りつける器に使われていた言葉だそうです。
だからこそ猪口を多目的な器を意味して使うは自然なことです。

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藤田佳三 染付猪口 3,240円
径7.5cmH6.5cm


ご紹介する藤田佳三さんの染付猪口は、
本来の猪口に沿っている小さな器です。
盛ってよし、持ってよし、注いでよし、飲んでよしと、
使い勝手の広い器です。

16_fujita_0660_20170205102627f5e.jpg

口から腰に直線的ですぼまるだけの猪口の基本形は、
重なりも良く使い勝手が合理的です。
この無駄が省かれたシンプルなフォルムだからこそ、
作り手のセンスが問われます。

16_fujita_0663_201702051026314b6.jpg

口径と高台のバランス。
口から高台へすぼまる傾斜。
口あたりを配慮した口作り。
省きながらも肝心の高台の納まり。
それに加えて飽きのこない美しい絵付け。

16_fujita_0664_20170205102630628.jpg

盛って、持って、注いで、飲んでと、
小さな器ながら楽しめる染付猪口です。

             甘庵


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徳利の魅力

今日ご紹介するのは木村宗得さんの備前徳利です。
酒好きには大切な酒を注ぐための器ですが、
近年は片口の人気が高く、
使ってくださる方が少ないようです。

16_autumn_0148.jpg
木村宗得 備前徳利 32,320円 桐共箱入り
径8.5cmH12.3cm 満水で300ccほど


使ったあとの洗いかたや始末などが、
どうも面倒に感じられてしまうからか、
合理的で多様性のある器の魅力ということなので、
片口に分があるようですね。

16_autumn_0149.jpg

もちろん片口は片口の良さがあり、
それが認知されたのは嬉しいのですが、
本来の注ぐ酒器基本の徳利が、
縁遠くなっている方が多いのは、
少々残念でしかたありません。

16_autumn_0150.jpg

そこで少しでも徳利の楽しみや魅力をお伝えできればと思います。
まずは形です。ロクロの技がはっきりと見え、
美しい徳利は花器に見立てたくなるフォルムを持ちます。
手に取り注ぐ動きの中で、腰、肩、口の造形と吟味し、
酒を味わう楽しみは器好きには格別です。

16_autumn_0151.jpg

酒を注ぐ時の音や手に伝わる感触は、
徳利ならではの醍醐味です。
そこには注ぎ心地の個性や癖があり、
文様の違いのように好みが生まれます。
そこもまた器好きには趣の深さになります。

16_autumn_0152.jpg

またこの備前徳利のようなせっ器ならば、
土味や窯変の味わいが使い込むことで仕立て、
味わい深くなっていく楽しみは格別です。
食べ物やお茶で侘びていくのとはまた異なる、
特別な落ち着き感が生まれてきます。

               甘庵


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雑草の花も映える花器

今日ご紹介するのは巳亦敬一さんの手のひらに乗る小さな花器です。

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乾燥が続いているのでわずかにあるベランダの常緑の鉢植えに、
今朝水とやっていると一年草の香草を植えていたプランターに、
どこからか飛んで来て芽吹いている野草が小さな花を付けていました。
名も知らない雑草になるのでしょうがむげに引き抜けず、
数輪摘んで大きさにあう巳亦さんの花入れに挿してみました。

16_mimata_0252.jpg
巳亦敬一 一輪差し モスグリーン 4,752円
W8.5cmD7cmH11.3cm 単品


どんな花にも気持ちを和ませる力があるようです。
活けてしまえば短い時間しか保たない花でしょうが、
その一時楽しむことにしました。

16_mimata_0253.jpg

この一時を楽しめるのもこの花器の力によるところが大きいです。
可愛く小さくても美しいフォルムを持っていて、
小瓶として飾って置くだけで和む存在ですが、
雑草に花を得てより一回り大きな存在感を見せています。

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不透明な彩りの緑の素地は柔らかな表情で、
一列に配置された可愛い白い花弁形のトンボ玉を活かして、
シンプルで飽きのこない構図です。

                 甘庵


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加藤財さんオリジナルのポット

今日は人気の急須とポットを作る加藤財さんが初めに作ったポットで、
また他にないオリジナルの形で、
”瓶子”と呼んでいるタイプをご紹介します。

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花器のような美しいフォルムのポットをという、
パートナーからの要望があって、
瓶子や梅瓶からイメージが膨らみ生まれたと聞きました。

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加藤財 ポット瓶子 11,880円
容積400cc


甘庵は大の加藤ファンですので、
たいしてお茶を飲むわけでもないのに、
急須もポットも茶葉ごとに使いわけるために複数使っています。
破損することもありながら今いくつかあるポットのうち、
同じ形があるのはこの”瓶子”形です。
やはり美しフォルムに惹かれます。

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加藤さんの急須もポットも丸さが魅力と言われる方が多いようで、
どちらも丸型の要望が高いのですが、
この”瓶子”形も丸が基本ですし、
肩からの丸み、腰に欠けての曲線も、
加藤さんならではなの丸さが美しいフォルムを生み出しています。

17_kato_1028.jpg

丸型に比べて高さがあるからか、
腰がすぼんでいるからか安定感を欠くと思う方がいますが、
丸型と瓶子の高台を合わせてくらべると、
ほとんどの瓶子の方が高台の径が大きく、
不安定なことは全くありません。

加藤さんお急須やポットはどれも注ぎ心地が抜群ですが、
甘庵にとって特に瓶子は注ぎ方の調整、
分量のコントロール性に優れていて、
注ぐのが実に楽しくなるポットです。

             甘庵


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倉庫から春をもってきました

今日は午前中に所用をこなし倉庫にも寄ったりで、
午後からの営業になりました。
東京の多摩地区を移動したのですが、
咲き出した梅花や芽吹きそうな枝振りが見えて、
晴れた日差しで気分転換になりました。

17_hina_1042.jpg
道楽かん工房 むらさきひな 4,752円
おびな:W9cmD6cmH6cm
めびな:W8.5cmD6.5cmH5cm


そんな気分で梱包材を取りにいった倉庫で、
そうだおひな様を出そうと、
いくつか張り子のおひな様を持ち出し、
立春まえですがさっそく並べてみました。

17_hina_1043.jpg

和紙を重ねて作る張り子というのも、
胡分や岩絵の具での彩色も、
軽やかな和の完成と彩りがまたいいんですね。

17_hina_1041.jpg

ほんわかと春めいていいです。
待ち遠しい春を気分だけ先取りして楽しめます。
四季折り折のしつらえを楽しめる日本の文化って、
いいですよね。

                  甘庵


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