赤絵は古くから、様々な手法で、
アジアや日本各地で作られてきました。
歴史的には磁器に施すことが多かった赤絵が、
近年土物に施されることが増えてきています。
藤田さんの赤絵も手法や材料は、
伝統的な延長線上にありますが、
当初から手がけている粉引きに上絵してあります。
そのために華やかでいながら柔らかな質感を持っています。
元々藤田さんは、絵筆を巧みに使う技をもっていたので、
あえて、装飾のために安直に絵柄を器に描かなかったようです。
手がけてきた器は、粉引き、刷毛目、伊羅保と、
フォルムや質感や釉調という要素に絞って
クオリティを上げて来ました。
藤田さんの顔や匂いが、それなりに確立できてところで、
はじめて、鉄絵、ゴス絵、赤絵という手法を広げてきました。
それでも、パターン化した図柄を長く描くことを続けると、
すぐに筆が走る過ぎて、上手すぎるというのも変ですが、
面白みや趣が失われがちなので、
気を配っているようです。
図柄を常にマイナーチェンジしたり、
あるいは、マルチカップやマグのように、
常に絵変わりにしています。
結果として絵柄がある器なのに、
藤田さんの赤絵や安南は常に進化しているため、
純粋な定番ではなく、随時模様替えして行きます。
結果としては、どれも一つずつの器になっています。
やはり出会いがあり、縁を楽しみ大切にしたいものです。
閑庵